第1章:旅をするという悩み解決方法

「悩みの解決方法は?」
と聞かれたら、多くの人が「本を読む」「友達に相談する」と答えるでしょう。
でも、旅に出ることもひとつの答えです。
慣れ親しんだ場所を離れ、知らない土地へ足を踏み入れる。
初めての道を歩き、初めての料理を味わい、初めての景色に出会う。
観光地を巡るのもいいですが、私はその土地の“日常”に触れる旅が好きです。
たとえばイタリア。
観光客のいない街の食堂で、地元の人たちが平日の昼間にゆったりランチを楽しんでいる。
「仕事は?昼休みってそんなに長いの?」
と日本的な感覚で驚くけれど、その光景からふと感じるんです。
「もう少し、ゆっくり生きてもいいんだ」 と。
朝起きて、いつものルートで学校や会社へいき、夜遅くまで働いて帰る。
そんな日々の中での悩みも、世界中にある自分とは違う”生き方”で見てみると、ちっぽけに思えたり、解決策が浮かんだりするものです。
今回紹介する映画『グランドツアー』は、まさにそんな体験を与えてくれます。
スクリーンを通して旅をし、「世界を観ること」の大切さを教えてくれる映画です。
第2章:東南アジア・東アジアを巡る追いかけっこ

物語は1918年。
イギリス人男性エドワードと結婚するため、婚約者モリーは彼を追ってビルマ(現ミャンマー)へ。
ところが、到着直前にエドワードはシンガポールへ行ってしまう。
モリーも追うが、またもすれ違い──今度はタイ、ベトナム、フィリピン、日本、中国へ。
アジアを舞台にした“旅する恋人たちの追いかけっこ”。
果たしてモリーはエドワードに再会できるのか。
第3章:ポルトガル人感じたアジア


監督はポルトガル出身のミゲル・ゴメス。
彼のカメラは、観光名所ではなく、現地の人々のリアルな日常を映し出します。
だからこそ、キラキラした観光映画ではなく、「ありのままのアジア」を感じられる旅映画です。
同じ土地を歩いても、登場人物ふたりの視点はまったく違います。
”結婚から逃げる男”エドワードは心が沈み、どんな景色も灰色に見える。
一方、婚約者を追うモリーは希望に満ち、新しい土地を楽しむ。
同じ道でも心の持ち方で見える景色は変わるんですね。
人生もそうじゃないですか。
どんなに苦しくても、今を楽しもうとポジティヴに考えると、未来は開ける。
因みに日本で生まれ育った皆さんは、エドワードとモリ―と共に旅にどう感じましたか?
彼らとは違う印象を得ましたか?
彼も彼女もあなたも価値観が違うので、世界は変わって見えるんですね。
第4章:「観る映画」ではなく「感じる映画」

この映画には明確なストーリーがほとんどありません。
説明も少ないし、会話もほとんどない。
それはそうなんです、だってこれ、エドワードとモリ―それぞれの一人旅の話だから。
アジアを旅する、ネガティヴな男とポジティヴな女の旅の覗き見をする映画。
だから、普通の映画のように向き合うと、「アレ?」という違和感を覚えます。
この映画の本質は旅。
旅をして、異国の地の生活を体験して、どう感じるか…
その感覚を研ぎ澄ませる映画。
つまり「映画を感じる」ことです。
異国の街並み、風、音、人の声。
スクリーン越しに、自分の感覚を通してアジアを味わう映画。
「映画を観る」ではなく、「映画を感じる」。
映画を通した旅という体験をする一本です。
最終章:世界に触れよう、価値観を磨こう

タイトルの『グランドツアー』とは、17世紀末から18世紀を通じて,イギリスで良家の子弟の教育,ことに古典的教養の修得のために行われたヨーロッパ大陸への旅行のことだそうです。
その国の人たちが日常的に見る景色、食べる食事、感じる空気に触れ、自分の考え方を磨く。
本を読むこと、人と話すことと同様、旅をすることも教養を身に付ける手段です。
私はこの映画を観て、旅する魅力を思い出し、また新しい世界へ行ってみたくなりました。
もちろん、いきなり海外でなくても構いません。
日本でも知らない街はたくさんありませんか?
少し足を伸ばせば「新しい世界」があります。
旅を通じて、あなたの悩みが軽くなったり、生き方のヒントが見つかることもあるでしょう。
世界に触れることは、自分を整え、磨くこと。
この映画を通じて、旅の魅力を感じることができます。
映画って本当に素敵ですね。
エンターテイメントとして楽しみながら、人生を素晴らしくするヒントを得られるから。
それではまた、次の映画紹介でお会いしましょう!
■公開情報:
・公開開始日:2025年10月10日・上映劇場:https://eiga.com/movie/101591/theater/
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