第1章:「こんな人間には、なるな」
映画を観て、
「こんな生き方、ええな」と思うこともあれば、
「これはアカン」と距離を取ることもある。
『ポルノスター』は、間違いなく後者。
登場人物、全員おかしい。
誰一人として共感できない。
でも、だからこそ言える。
映画は、反面教師にもなれる。
今日紹介する映画は、1998年公開『ポルノスター』。
漢心をくすぐる激渋センスで、
「こんな人間にはなるな」と静かに突きつけてくる、
危険で、魅力的な一本。
第2章:言葉少ない関西弁の謎の男と盃を交わしていない極道男の奇妙な友情物語
主演は、今や超絶売れっ子お笑い芸人の千原ジュニア(当時の芸名は、千原浩史)。
ボストンバッグを片手に、
終始、世間を睨みつける関西弁の謎の男を演じる。
そこに絡んでくるのが、
ヤクザと盃は交わしてないけど、
デートクラブを運営する男・上條。
多くは語られない。
説明も、親切な導線もない。
ただ、
この二人が並んで立つだけで、
「何かヤバいことが起きそうやな…」
と感じさせる空気がある。
一応ストーリーはあるけど、丁寧に描かれず。
細かな説明はなく、淡々と彼らの刺激的で破滅的な日々を追う。
第3章:初監督とは思えん、豊田利晃のセンス
この映画がただの暴力映画で終わらず、語り継がれる理由。
それは、センス。
監督は豊田利晃。
2025年に公開された『次元を超える』で
強烈な印象を残した監督の、これがデビュー作。
坂の使い方、
ロケーション選び、
夜のシーンの湿度、
スローモーションと音だけで語る演出。
着メロで鳴るベートーヴェン『運命』、
さりげなく入るギター、
ガレージロックなBGM。
パーティーシーンは照明や小道具を使ったサイケデリックな絵。
緊張感だけではない、
クスッと笑かすシーンも。
リアルを描いているかと思いきや、ファンタジックな演出で物語に刺激を。
カメラワークを駆使して、緊張感を沸かせる見せ方が秀逸。
全部が狙い過ぎず、さりげなく、かっこいい。
第4章:共感できない主人公が、なぜ記憶に残るのか
千原ジュニアさんが演じる謎の男は、
決してヒーローじゃない。
危うくて、乱暴で、理解不能。
「ヤクザなんかいらん」と言い放つ姿は、
どこかダークヒーロー的にも見える。
『ジョーカー』を思い出す人もおるかもしれません。
もちろん直接の影響とは言えへんけど、
『タクシー・ドライバー』や
『キング・オブ・コメディ』の系譜に、
確かに連なる存在です。
共感できない。
でも、目が離せない。
彼の出自や「ヤクザはいらん」の考えの裏側は語られないけど。
「なぜこのような人間になったのか」
と妄想を膨らませるキャラクター。
友達同士で映画を観たら、鑑賞後の居酒屋のトークのネタになる感じ。
それが、この映画の一番の強さ。
第5章:観てスッキリはしない。でも、観て惚れる作品
『ポルノスター』は、
物語の内容も描き方も優しくない。
それでも、
センスの鋭さと、若さの衝動が、
しっかり刻み込まれる。
感じる映画。
暴力的やのに、
日本映画監督協会新人賞を受賞してるのも納得。
映画を
「人生の教科書」として観る人にも、
「反面教師」として観る人にも、
刺さる一本。
漢心、確実にくすぐられます。
たまには、
こういう危険な映画も、悪くない。
映画って本当に素敵ですね。
エンターテイメントとして楽しみながら、人生を素晴らしくするヒントを得られるから。
それではまた、次の映画紹介でお会いしましょう!
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