
第1章:とっつきにくそうで、少し安心できる理由
『青い春』は、正直に言うと、とっつきやすい映画ではない。
高校を舞台に、不良たちの日常を切り取った作品で、
暴力的なシーンも多く、物語も一本の筋があるわけではない。
だから、
「ちょっと自分には向いていないかも…」
そう感じる人がいても不思議じゃない。
でも、この映画には、
観る側の気持ちを少しだけ和らげてくれる存在がいる。
売店の叔母ちゃん役で出演している、小泉今日子さんだ。
不良たちがたむろする校内で、
彼らの他愛もない話を受け止め、
距離を保ちながらも、ちゃんと人として向き合う大人。
小泉今日子さんが演じるその姿があるだけで、
この映画は「突き放す作品」ではなく、
どこか人の温度を感じられるものになる。
とっつきにくそうだけど、ちゃんと人を描こうとしている映画なんだろう。
そう思わせてくれる、静かな安心感がある。
だから『青い春』は、
身構えすぎずに、
ぼんやりと眺めるくらいの気持ちで観ていい。
第2章:原作・監督が生む、独特の世界観
原作は、『鉄コン筋クリート』『ピンポン』で知られる
松本大洋さんの短編集『青い春』。
脚本・監督は、
『ポルノスター』『ナイン・ソウルズ』の豊田利晃さん。
短編漫画のようなエピソードが連なり、
学校のさまざまな場所で、不良たちの会話や衝動が描かれていく。
一貫したストーリーがなくてもいい。
人生だって、そんなにドラマチックに一本筋では進まないのだから。
第3章:花田先生という「教える人」の姿勢
この映画で、異質な存在感を放つのが
マメ山田さん演じる花田先生だ。
花壇に水をやり、植物を育てるのが好きな教師。
不良生徒にも怯えず、挨拶し、向き合う。
物語終盤、いつもの花壇で主人公・九條(松田龍平)との会話がある。
「枯れてもまた咲く。毎日水はやってますか?」
「花は咲くものです、枯れるものじゃない。私はそう思うことにしてます」
と九條に話す。
この言葉は、
「失敗しても、またやり直せる」
「毎日、自分を大切にできているか」
そんな問いとして、こちらに返ってくる。
栄養のある食事をとり、適度に体を動かし、きちんと眠る。
自分を大事にできているか、という問いでもある。
自分を大切に生きる…するといつか人生は明るい方向へと進む。
花田先生は、生徒を諦めない。
不良であっても、人として信じ続ける。いつか絶対花開くって。
第4章:教える立場にいるすべての人へ
『青い春』は、不良高校生の映画だ。
だが、そこで描かれるのは
「教える側の姿勢」でもある。
できの悪い生徒。
伸び悩む部下。
問題を抱えた誰か。
指導者ができるのは、
向き合い、言葉を投げ、信じ続けることだけだ。
変わるかどうかは、相手次第。
それでも、諦めない姿勢が、いつか誰かを救う。
最終章:人生は、短編映画の連なり。そして人は変わっていく。
『青い春』は、
一貫した物語があるようでない。
場面は飛び、登場人物も次々と変わる。
そして、各場面には複数の人生がいくつも重なっている。
これって、
私たちの人生とよく似ていないだろうか?
いくつもの短編が積み重なって、
月日が流れる。
そして、あとから振り返ったときに、
「生きてきた時間」になる。
『青い春』は、
不良高校生の数日間を描きながら、
人を信じること、育てることの意味を
教えてくれる映画だ。
主人公の九條を、もう一度思い出してほしい。
彼は最初と最後で、変わっただろうか。
顔色は?
心は?
映画って本当に素敵ですね。
エンターテイメントとして楽しみながら、人生を素晴らしくするヒントを得られるから。
それではまた、次の映画紹介でお会いしましょう!
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