第1章:周りに流されず、自分自身の正義、価値観を持って生きる

皆さんが思うかっこいい人ってどんな人ですか?
私は、「自分をしっかり持ってる人」に惹かれます。
世間体を気にせず、周囲の目を気にせず。
「こうあるべき」に縛られず。
自分の価値観や信念をもって行動できる人。
自分の目で世の中を見て、自分の考えを言える人。
間違いに気づけば素直に謝り、感謝の言葉を伝えることができる人。
そんな人に、人としての美しさ、逞しさ、かっこよさを感じます。
映画『フロントライン』に登場す人々はまさにそんな人ばかり。
これは、2020年2月、横浜港に停泊したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の実話をもとに描かれた作品です。
世界を一変させた新型コロナウィルス。
未知のウイルスに対して日本には専門機関がないため、派遣されたのは「DMAT(災害派遣医療チーム)」でした。
彼らは医師や看護師など医療従事者であり、普段は別々の場所で働きます。
災害が発生した際に人命救助のために駆け付ける医療チームが、ウィルスに関する知識がない中、自分たちの正義を信じ、最前線(フロントライン)で戦う姿が描かれております。
コロナ過から落ち着き、平穏を取り戻した今だからこそ、あの当時を振り返って何を感じるか。
報道では伝えられなかったリアルな現場の姿を目の当たりにすることで、今生きることの尊さと感謝の気持ちを抱くと思います。
そして私はこの映画から「自分の価値観で生きることのかっこよさ」を強く感じました。
それはどういったことか、各登場人物にフォーカスを当ててご紹介致します。
ネタバレは避けてますので、ご安心を。
第2章:DMATの指揮官とNo.2「自分の正義に生きる」


「リーダーには優秀なNo.2が必要」―
小栗旬さん演じる指揮官・結城と、窪塚洋介さん演じる現場責任者・仙道の関係性がまさにそれです。
結城は政府や報道機関と調整しながら現場を指揮。人命を最優先に動こうとするも、政治的な制約に苦しみます。
そんなときに正面から異議を唱えるのが、現場に立つ仙道です。
「俺たちは厚労省のために船に乗ったわけじゃないだろ」
冷静沈着な仙道がこの言葉を発したとき、結城はハッと我に返り、素直に謝ります。
現実社会でも、立場の違いやプレッシャーで自分の信念を見失うことがあります。
「初心忘れるべからず」
この言葉を忘れてはいけない、と感じました。
第3章:任務に生き、家族を想うDMATチームリーダー「最後は自分の正義で選べ」

「部下でも自分の価値観のために上司に物申す」―
それは時に必要だと思います、その組織で納得して安心して働くためにも。
池松壮亮さん演じる真田は、チームリーダーであり、一人の旦那であり、一人の父親です。
彼は穏やかで優しく、指揮官や部下からも信頼を寄せられる存在です。
任務に集中する日々でメディアやSNSによる情報により世の中変化を感じ、彼は「人命救助」という職業的使命と、「家族を守る」という私的な最優先事項の間で葛藤します。
ある決断を下したとき、彼は静かに、しかし強く上司に声をあげました。
上司の命令に従うことは部下の務めではすが、それでも譲れない価値観は皆さんにもあると思います。
部下が上司に意見できる組織こそ健全なのだと、彼らの姿から実感しました。
第4章:厚生労働省の役人「行動こそがその人を語る」

「見た目や立場、役職がその人ではない。その人が発する言葉やとる行動がその人そのものなんだ」―
松坂桃李さん演じる立松は、厚生労働省から派遣された役人。
冷静沈着で感情を見せず、まさに「ザ・官僚」といった人物です。
民間と官民によるチームの物語ではよく対立する場面が見受けられる関係性です。
しかし、物語が進むにつれ、彼が先回りして問題を解決したり、ルールの間をかいくぐって政府を説得したりと、DMATが動きやすい環境を整えていることが明らかになります。
言葉や表情でなく、「行動」で信念を貫く人間の姿がそこにあります。
人は見た目や肩書きではわからない。
本当の人柄は「どう動くか」で現れるのだと、改めて思いました。
小さいときに親や先生から、
「人は見た目で判断してはいけない」
と言われたと思います。
まさにそれでした…私は映画観ながら立松に「ごめん!」と心の中で謝りました。
第5章:フロントデスク・クルー「私にしかできない役割」

「あなたにしかできない仕事、あなただからこそできる任務、あなたがやるべきミッションがある」―
森七菜さん演じる羽鳥は、船内でフロントデスク業務を担当するクルー。
医療知識も技術もない彼女にとって、「人命救助」は直接の役割ではありません。
しかし、彼女は自分の役目を全うしようと必死に船内を走り回ります。
その役目とは、船内にいる皆さんに安心安全と平穏な生活を届けること。
皆さんとは乗客だけではなく、DMATの面々も含みます。
英語力を活かしてDMATと外国人乗客の橋渡し役を担い、心を支える存在となります。
DMATに一瞬っでも安らぎを与えるサプライズを用意したり、任務に集中できる言葉を配置したり、苦しむ乗客に寄り添う姿は、まさに“自分にしかできない仕事”を体現していました。
大きなミッションの中でも、役割は人それぞれ。
メインの業務ができないからと言って悲観する必要なんてない。
自分にできることを見つけ、全力で果たすことの大切さを教えてくれます。
第6章:報道ディレクター「仕事の意義は?」

「数字に惑わされるな、仕事の意義を思い出せ」―
桜井ユキさん演じる上野はテレビ局のディレクター。
最初は「視聴率を取れるネタ」として新型コロナウィルスと豪華客船の取材を始めますが、次第に違和感を抱き始めます。
報道は誰のため?
上司は視聴率のためにネタを探せ、視聴者が騒ぐようなネタを持ってこい、何なら作れ!というけど。
本当にそれって報道の仕事?
彼女の葛藤と変化は、観ている側にも問いかけてきます。
例えば営業マン。
売上目標があるものの、それを達成するために無理やり売りますか?
その数字は正義でしょうか?
数字達成したからって、クライアントに無理をさせてたら意味がない…
どんな仕事でもこのような葛藤はあると思います。
彼女の心の変化を観ていると、観客それぞれが自分たちの仕事のやり方を見直すきっかけになるような気がしてます。
彼女はこの経験を経て、どんな道を選ぶのか。
スピンオフ作品を観てみたいほど、印象に残るキャラクターでした。
最終章:自分の正義に生きるということ
「新型コロナウィルスを乗せた豪華客船の事実に基づく映画」
と聞き、
「エンタメになるのかな?」
と疑問でした。
でも実際に観てみると一人ひとりのキャラクターに感じるもの、学ぶものがありました。
この作品を観る前と後で私自身の仕事に対する考え方がガラッと変わりました。
心が動かされる作品…それはエンターテイメントですよね。
様々なキャラクターについて書いてきましたが、皆それぞれの仕事に対して真摯に向き合い、自分自身の正義に生きてます。
映画『フロントライン』は列記としたエンターテイメント作品です。
きっと生き方、価値観、人生の軸を見直し、感謝の気持ちを持つキッカケになると思います。
映画って本当に素敵ですね。
エンターテイメントとして楽しみながら、人生を素晴らしくするヒントを得られるから。
それではまた、次の映画紹介でお会いしましょう!
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